令和2年度 愛知県立小牧南高等学校入学式 式辞

春の温かい日差しのもと、合瀬川の桜も満開となった本日、PTA会長 高野有里様を始めとして、PTA役員の皆様のご臨席を賜り、保護者の皆様とともに、第四十一回 愛知県立小牧南高等学校入学式を挙行できますことを、高い席からではありますが、本校職員を代表し、厚くお礼申し上げます。
ただいま入学を許可いたしました 二百七十四名の新入生の皆さん、本校への入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんの入学を心より歓迎いたします。また、今日のこの慶びの日を迎え、新入生の皆さんの感激はもとより、これまで細やかな愛情をもって育んでこられました保護者の皆さま方にはお慶びもひとしおのことと推察し、心からお祝い申しあげます。
本校は昭和五十五年に開校し、本年度創立四十一年目を迎えます。創立当初から進学校として地域の信頼を築いてまいりました。本校の校訓は「知(ち)・行(コウ)・恕(ジョ)」です。この言葉は、校歌の1番に「知のまことともにもとめて」、2番に「行(こう)つよくともに研(みが)いて」、3番に「恕のこころともに探(もと)めて」と歌われています。最初の二文字、「知・行」は、「知行合一」という言葉が由来となっています。この言葉の意味は、「学んだ知識は、生活の中で実践して、始めて身に付き、その人の叡智となる。」ことを意味し、「恕」は「他人の立場に立ち、その人の痛みや、苦しみ、喜びを自分のことのように感じることができる心。」を表した言葉です。皆さんがこの三つの言葉をしっかりと受け継ぎ、日々の学校生活で実践してくれることを期待します。
今から六十年以上も前、第二次世界大戦の時のことです。フランスの大部分がドイツ軍に占領された時、フランスの大学は学問の自由を奪われました。そのとき、ルイ・アラゴンという詩人が「ストラスブール大学の歌」という長い詩を書きました。その中のわずか二行は、その後多くの人に語り継がれ、様々なところで引用され紹介されました。その二行とは、次の一節です。
 学ぶとは誠実を胸に刻むこと   教えるとは希望を共に語ること
皆さんも私たちも、学ぶことに誠実でなければなりません。心を素直にして、誠実に学ぶとき、私たちは最も深く学ぶことができます。そして、教えるとは希望を共に語ること、という一行は、学校のあり方を簡潔に見事に言い表しています。学校というところは、誠実に学ぶ人と情熱をもって教える人が希望を語り合うところなのです。皆さんが教室で授業を受けるとき、勉強のこと、友だちのこと、進路のこと、部活のことを担任の先生に相談するとき、皆さんは先生たちとごく当たり前に希望を語り合っているのです。部活動や学校行事で活躍する上級生を眩しくみて、あんな風に強くなりたい、上手くなりたい、もっと大人になりたいと思ったとき、それは無言で皆さんは上級生と希望を語り合っているのです。小牧南高校は「希望を共に語り合う」ということにおいて、いかなる支援も惜しみません。
新入生の皆さん、小牧南高校で、自分の将来を確かなものとするために、共に希望を語り合うとともに、それぞれの人生において、かけがえのない大切な高校時代に、自らすすんで知性と人間性を磨き、他人に対して気配りのできる心豊かな人間に成長してください。皆さんの、健闘を祈ります。
最後になりましたが、保護者の皆さまに申しあげます。本日より、大切なお子様をお預かりすることになりました。お子様の教育、指導を、おひき受けしましたうえは、生徒一人一人の内に秘めた可能性を最大限に伸ばすべく、全職員が一丸となり、情熱と愛情、時には厳しさをもって、全力で教育活動を推進し、保護者並びに地域の皆様方の御期待に精一杯こたえていく所存であります。
保護者の皆様と共に、希望を語り合い、協力しながら子供たちの成長を支えていきたいと思っておりますので、これからも本校の教育活動に格別の御理解と御支援を賜りますようお願い申しあげ、式辞といたします。
 令和二年四月六日
愛知県立小牧南高等学校長   山田 満貴