30年度 研究報告

本年度の研究目標

  1. 国語科において、アクティブ・ラーニングを導入するに当たり、各評価の観点に対応したパフォーマンス課題及びルーブリックを開発し、パフォーマンス評価を各教材の一連の指導の中で、有効に行う方策を研究する。
  2. 「思考力・判断力・表現力」を磨くことを目標とし、言語活動を充実させるために、メディアリテラシーを養うための授業方法を確立する。
  3. グループ単位の活動を通して、対話的、主体的な学びの機会を創出し、自己評価や、相互評価をより確かに行えるようにする。
  4. 研究最終年度であり、地歴公民科、数学科、理科においても実践を行い、全校的な取組の中で国語科の学びの汎用性を高める研究とする。

年間の実践研究内容

実践日と内容 教科科目と単元 実践内容
6月18日
授業実践
物理「コンデンサー」 生徒自身がコンデンサーを作成し、構造の理解を深める
6月19日
先進校視察
愛知県立碧南高校(地歴公民科)
7月9日
公開授業・研究協議
国語総合「羅生門 本文と『今昔物語集』との比較から主題に迫 る」 研究協議
7月11日
授業実践
基礎探究理科「物質の構成と構成粒子」 グループで演習問題の良問を作成し、相互評価により理解を深める
8月17日
本校訪問
奈良県立高田高校から視察に訪問、研究協議
9月25日
授業実践
現代文B「複数の観点を考慮しつつ意見を深める」 ペアリテリングで比較評論を読み 込み、自分の意見を作る
10月4日
授業実践
世界史A「陸と海の交流」 すごろく作成を通して史料「東方 見聞録」の内容理解を深める
10月30日
公開授業・研究協議
現代文B「顔の所有 マインドマップで発想を広げ、当たり前を疑う思考を養う」
国語科・地歴公民科・数学科・理科の公開授業
研究発表、研究協議及びパネルディスカッション
11月14日
合同研究発表
県研究指定校7校による合同研究発表(於:総合教育センター)
12月7日
研修会参加
独立行政法人NITSによる次世代教育推進セミナー
12月
授業実践
古典A「毎月抄定家に挑戦」 本歌取りの和歌を創作し、相互批 評により和歌を総合的に学ぶ
1月23日
先進校視察
愛知県立幸田高校(数学科)
1月24日
授業実践
生物「ウニの発生」 ウニの人工授精を行い、観察により理解を深める
2月5日
研究検討会議
名古屋大学柴田好章教授による3年間の総括ご指導

研究成果の評価及び普及・還元について

平成29年度に愛知県教育委員会から教育課題研究指定校事業としてご指定を頂いた「国語科におけるアクティブ・ラーニングの視点による授業改善」を無事終了することができた。折しも2022年からは新しい学習指導要領が年次進行で実施される中、学校全体で対話的・主体的で深い学びに関する実践ができたことを心から喜びたい。思い返せば、総合教育センターの職員時代に、評価手法の在り方の研究のために、京都大学高等教育研究開発推進センター教授松下佳代先生の「パフォーマンス評価 子供の思考と表現を評価する」(日本標準ブックレット)を通読したのが、私のアクティブラーナーを目指す嚆矢であった。わずか70頁あまりの薄い冊子であるが、この冊子には、パフォーマンス評価を行う上での利点や課題が率直に書かれている。パフォーマンス課題を経験した児童を対象に行った調査結果がこの本には載っているが、「むずかしいけれど、おもしろい」という回答が最も多かったことを受け、松下先生は、「教える側からすればいちばん望ましい回答」ではないかと既に2007年に述べておられる。翻って小牧南高校の先生方の実践を振り返るならば、まさに「むずかしいけれど、おもしろい」いう醍醐味を生徒たちは味わったのではないかと思われる。個人的には、道場のような対戦形式で短歌を批評し合う実践をやらせていただいたことが、思い出深い。国語科を中心に、地理歴史・公民科、数学科、理科で行われた実践の成果は、本校40周年の記念サイトでも公開される。本校の実践は試行錯誤の上完成したレシピであり、各学校で活用されることを期待している。研究期間中懇切にご指導いただいた中京大学酒井敏先生、名古屋大学柴田好章先生に深く感謝するとともに、愛知県教育委員会高等学校教育課、総合教育センタ-のご指導に厚く御礼を申し上げます。(研究総括者・小塩卓哉)

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研究指定最終年の今年は、国語科を中心に地歴・公民科、数学科、理科でALを取り入れた授業改善が進められた。学校全体に取り組みが広がり、生徒の学びも目に見えて変化が表れている。私が本校に赴任した昨年にはすでに研究は相当高い水準で、その後は若い先生たちが跡を追いかけながら果敢に実践を積み重ねてきた。その点で、主務者の青先生には、本校のALのスタンダードを確立するとともに、若手と率直に悩みや成果を共有し皆を巻き込んで研究を推進された。自身も楽しみながら若手を育ててこられた抱擁力・リーダーシップに深い敬意を表したい。主体的、対話的で深い学びを目指すAL研究は、いよいよ「本丸」の深い学びに焦点が当たってきた。「深い」は平易な言葉だが最も捉えにくい。「教えて考えさせる授業」の立場からALに提言を行っている市川伸一先生(東京大学)は、深い学びの一つの側面として「深い習得」「深い理解」を言われた(次世代型教育推進セミナー岐阜会場にて)。基礎知識は教え、思考・表現を通して深い習得を促す、活動に埋もれて習得できない生徒を置き去りにしない、断片的な知識を関連づけ応用が利くようにするのが深い理解である。AL研究を地に足がついたものにするルーブリックを手にした感じがする。私個人としては、これまでの授業実践でパフォーマンス課題の研究に最も関心を寄せてきた。難しいがやりがいがあると、生徒が食いつく課題は、教材の深い読解に根ざし深い読解を引き出すものである。とりわけ若い先生たちには国語の教師として教材文を徹底的に読み込む、教材研究へのこだわりを持ち続けてもらいたい。(研究会議運営:瀬尾学)

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ALの手法による授業改善を実践する中で、最も変化したのは実は授業者自身である。ともすれば日々の仕事に追われ、「いつもと同じ」授業をしがちであったが、この3年間は常に「次の単元ではどのような工夫をしようか」「どうすれば深い学びにたどりつけるか」を考え続けてきた。一つの試みが終われば、「生徒の学びは深まったのか」「次に生かせることは何か」と振り返ってきた。ALの実践に励む他の先生方から学ぶことも多かった。若手の先生方の斬新な方法を見て、自分も試してみたり、他教科の先生のワークシートのアイディアをお借りしたりもした。実践後の意見交換は、その先へつながる貴重な示唆にあふれていた。まさに、私自身がアクティブ・ラーナーであった。AL型の授業は、少しでも検証を怠ると、すぐに「形だけ」の状態に陥る。それを防ぐためには、生徒の「活動」だけでなく、「成果」をしっかりと確認し、進めていかなければならない。自分への戒めとして心に刻んでおきたい。最後に、貴重なお時間を割いてくださり、ご指導・ご助言くださった酒井先生、柴田先生はじめ、愛知県教育委員会、総合教育センター、研究先進校の諸先生方、ともに研究を進めてくださった本校の先生方、そして、毎時間楽しんで取り組んでくれた生徒たちに感謝し、まとめとしたい。ありがとうございました。 (研究主務者:青ちづる)

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研究3年目を迎えた今年度は、「主体的・対話的に深く学ぶおもしろさを伝えたい」と新たな学年(3年生)でALを展開した。なぜALで授業を行うのか生徒に伝え、受験にも対応しうる活動となることに留意してALを継続したところ、当初受身がちだった生徒たちの表情が次第に変化し、イキイキとした姿が見られ、「“自分”が学ぶことで、理解を深められ、さらに演習につながる学びができた。ペアや班で意見を共有すると自分と違う意見を聞くことができ、考えの幅が広がる。授業で身についた分かりやすく伝える力や、相手の考えも聞き入れる力は、今後も活かせる。」(授業の振り返り感想より)など、成長が感じられた。実践にあたっては多くの先生方から御指導・御助言をいただいた。研究指定としては最終年ではあるが、本研究に携わる中で得た経験をもとに、さらに改善を図り、今後もよりよい授業実践を追求し続けていきたい。(国語科:池山朋花)

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問いがあって答えがない、なんてことは世の中ではありふれた真理である。だからこそ、想定外の事態を自分たちの力で乗り越えていくために、我々は思考をめぐらす訓練が必要なのではないか。アクティブ・ラーニングの意義はそこにあると3年間の研究実践を振り返って思う。高大連携が叫ばれて久しい中、本校では多くの先生方がALの実践に取り組まれ、生徒は自己発信、他者受容能力を十分に培ってきたように様々な場面で感じられた。また、自身の教員生活を振り返っても、たくさんの先生方が熱心に授業研究される姿をたびたび拝見し、刺激を受けることのできる環境に身を置くことができたのは本当に幸いであった。今年度でALの研究指定はいったん幕を閉じるが、AL授業者として得た充実した学びを今後の経験に生かし、探究心をもって授業実践を行いたい。(国語科:福田亜里沙)

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中教審ではアクティブ・ラーニングの意義について、「主体的・協働的な問題発見・解決の場面を経験することで・・・生涯にわたり活用できるような物事の深い理解や方法の熟達に至ることが期待される」と示している。私は生徒の主体的な学びを導くために、特に自己評価や活動のふりかえりに主眼をおいてきた。生徒は自己の活動を反省することで、知識を定着させ、継続的に力を身につけていくことができると考えている。そして、反省が求められるのは教員も同じである。同項に、「子供たちの変化等を踏まえつつ自ら指導方法を不断に見直し、改善していくことが求められる」ということも挙げられている。本研究に携わることができたことを嬉しく思うと同時に、よりよい指導方法を模索し、挑戦し続ける教員でありたいと思う。(国語科:田中琢斗)

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「風向きが変わった」アクティブラーニングについて、逆風が吹いていた5、6年前と比べて今はまさに追い風が吹いている。私が新任の時はアクティブラーニングについては積極的な風潮はなく、「教科書がまず基本である」「トーク&チョークが授業の基本である」と当時の社会科の先輩教師から聞いていた。今もその考えは正しいとも思える。しかし、だからといって教授方法に拘らないという意味ではない。当時から教授内容と教授方法は一対であると信じてきた。風向きも変わり、ここ数年で授業内容をいかに分かりやすいように教えるか。というステージから授業内容をいかに考えさせるかというステージへパラダイムシフトしたようにも感じる。現場の教員一人一人が教授方法を考え、より一層現場の意識が変わることを望む。 (地歴・公民科:吉田将人)

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アクティブラーニングの効用は、本研究の数々の実践や、先行する諸研究によって多くが明らかにされてきている。講義中心の「受け身」の授業を改革する可能性を秘めた手法であることは、もはや教育者の間では常識的な認識になりつつあるといえる。その一方で課題も多く見えてきている。現時点のアクティブラーニングは決して従来の手法に取って代わるものではない。「基礎基本」「主体性」「深い学び」といった要因を全て充足する手法は現時点では存在しない。これからはアクティブラーニングの限界と課題を意識した上で、それを乗り越えようとしていく努力が必要になると考える。(地歴・公民科:長田雄人)

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もう20年以上前から、思考力をつけるにはどうしたらよいかが自分の授業の目標であった。ゆとり教育の時代に、内容が大幅に削減され、それまで行っていた方法では同レベルまで学力を引き上げることが難しくなった。それを契機に試行錯誤しながら自分で成長していく生徒を育てることが必要だと感じ始めた。発問しながら生徒と意見を交換し、一つの事柄を共に深めていくことができるような授業を目標としていろいろな工夫を続けてきた。この形なら進度の遅れも調整ができ、こちらの期待する考え方にも誘導し易いからである。アクティブ・ラーニングの研究に関わったことにより、自分の目標とする授業に近づくヒントが多く得られたのでないかと感じている。これからも、それらを少しずつでも実践しながらより良い授業になるように努力したいと考えている。(数学科:中村弘久)

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始まったばかりの頃は、形だけのAL風授業であったり、活動のみで思考の深まらない授業もあった。それでもALを続けていくうちに、改善されていった。上手くいかなくても続けることができたのは、他の授業でやっているからという理由が大きい。教科を広げチームで研究を行ったことのメリットである。この研究が、次期学習指導要領で学校が育成すべき「予測困難な社会の変化に主体的に関わり、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を自ら考え、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力」を実現する一助となることを望む。(理科:櫻井正昭)

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ALの研究に参加させていただいて、自分の授業に対する認識が変化したことを感じています。私自身は「生徒により良い問題を作らせる」という授業を展開したのですが、その授業準備をする際に、池山先生に何度も相談させていただきました。これまでの研究活動によって得られたものが小牧南高校の文化となりつつあることを感じました。また、本校で行われた研究検討会において、「関心とは出会いから始まるものであり、学校における学習活動において、出会いとは授業のことである」とのお話を聞き、私たちが日常的に行っている授業は生徒たちの将来に深く関わっていることを改めて認識するとともに、生徒が興味を抱けるような授業を展開できる教師になろうと決意を新たにしました。本研究に1年間だけでも参加できたことを幸せに思います。ご指導いただきましてありがとうございました。(理科:田村洋佑)

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(2)研究成果の普及・還元

  • 6月と10月に公開形式による研究授業を行い、合わせて約80名の参加があった。10月の公開授業の際には、青教諭・池山教諭による総括研究発表も行い、更に高等学校教育課伊藤指導主事及び総合教育センター齋藤研究部長に参加いただいてパネルディスカッションを実施した。本校の研究の深化を広く周知するとともに、参加者との質疑応答によって今後の課題も明らかになり、参加者全体の意欲を刺激することができた。
  • 授業研究の専門家からの授業方法、評価に関する知見を多く得られた。2月の校内研究検討会議では名古屋大学柴田教授に総括のご指導をいただき、研究員全員で研究の到達点や課題を共有した。
  • 国語科を軸として、他教科、総合的な学習や生徒会活動など全校的にアクティブ・ラーニングを広げてきたことにより、積極的に発信できる生徒へ、生徒の変化が見られるようになった。気軽に授業を見せ合ったり、ワークシートを共有したりするなど、教師間の学び合いも活性化し、若手教員の授業力が着実に向上した。
  • 他県への視察や、研究会などに参加することで、全国的な水準を把握しつつ実践を行った。また、他の研究指定校の公開研究授業に参加することで、本校の、地理歴史・公民科、数学科、理科の研究に資することができた。
  • 研究内容を最終まとめ(研究3年目)冊子にまとめるとともに、3年間の研究実践の成果を平成31年度に、本校創立40周年記念サイト(http://komaki-minami.jp/)の中で広く公開する予定である。

最終報告書

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