創立40周年記念式典 式辞

小牧山から吹き来る風に秋の深まりを感じる今日の佳き日 、愛知県 議会議員 山下智也様 、愛知県 議会議員 天野正基様、小牧市副市長 江口秀和様 、小牧市議会副議長 稲垣衿子様、小牧市教育委員会教育長 中川宣芳様をはじめ、多くの御来賓の方々の御臨席を賜り、愛知県立小牧南高等学校 創立四十周年記念式典をこのように盛大に挙行できますことは、私ども職員,そして九百十三名の在校生にとりまして、誠に大きな喜びであり、厚くお礼を申し上げます。

これもひとえに、創立当時から、本校教育の充実・発展に御支援をいただきました地元小牧の皆様方やPTAの方々、さらには歴代校長先生はじめ旧教職員・同窓生の皆様のおかげと深く感謝申し上げます。

また、四十周年記念事業では、同窓生の皆様方から、最新のプロジェクターとスクリーンを設置していただきました。これらは貴重な学校の財産として、有効に活用させていただきます。草を植えうるは一年の計、木を植えうるは十年の計、人を植えうるは百年の計と申します。同窓会の皆様方のこのような御厚志は、次なる五十年、百年に向けて有為な人材を輩出していくための大きな支えとなるものと信じております。心より感謝を申し上げます。

本校は、昭和五十五年四月に開校し、この四十年の間 、一万三千名を超える若人が志をもって本校に入学し、学校行事や学習活動に青春の汗を流し、卒業の後には、地域はもとより県の内外において、有為な人材として活躍してきました。

生徒の皆さん、皆さんはこれまでの先輩方が築かれてきた輝かしい伝統と校風をしっかりと受け継ぐとともに、皆さんの家族はもとより、先輩方や地域の方々によって支えられえ、励まされていることをけっして忘れてはいけません。 二十一世紀をたくましく、力強く生きる人間として、地域社会にしっかりと貢献するとともに母校となる小牧南高校をこよなく愛し続けて欲しいと切に願っています。

さて、人工知能が人間の脳を超えると予測する二○四五年問題が話題になっています。多くの仕事が人工知能に取って代わり、子供たちの多くが今は存在していない職業に就くと言われています。今後、どのような社会が実現されていくか誰も正確に予測できません。小牧南高校は、これからの時代を生き抜いていく生徒が、混迷する社会の中で光り輝く有能な人材となるための教育に取組んでまいります。

まずは毎日の授業を通して「主体的な学び」、「対話的な学び」、「深い学び」を実践します。「主体的な学び」とは、自ら興味・関心を持ち、見通しをもって粘り強く取組み、自己の学習活動を振り返って次につなげること。「対話的な学び」とは、生徒同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を通して、自己の考えを広げること。「深い学び」とは、各教科で習得した概念や考え方を活用した「見方・考え方」を働かせ、課題を発見・解決し、自己の考えを表現し創造することであります。この三つの学びを通して、多様な人々と協力しながら主体性をもって人生を切り開いていく力、知識の量ではなく、混とんとした状況の中で問題を発見し、答えを生み出し、新たな価値を創造していくための資質や能力を身につけ、これからの人生を力強く歩んでいく「生きる力」を育んで参ります。

つぎに、本校の校訓であり、最も大切にしている三つの言葉、「知・行・恕」の実践です。最初の二文字、知と行は、「知行合一」という言葉が由来となっています。新渡戸稲造は「武士道」の中で、「知識がいくらあっても、実践と結びつかなくては

意味をなさない。知って行わなければ知らないに等しい。学んだ知識を生活の中で実践した経験を通して、始めてその知識が身に付き、その人の叡智となる。」とその大切さを述べています。三つ目の文字、「恕」とは、孔子が「人生で一番大切なものである」と弟子に教えた言葉です。自分がされたくないことは人にしてはならない。他を受け入れ、認め、自分のことと同じように人のことを考える。他人の立場に立ち、その人の痛みや、苦しみ、喜びを自分のことのように感じることができるこころです。小牧南高校は、毎日の教育活動を通して、この三つの言葉で表された「志」を、不変の「生きる叡智」として生徒たちがしっかりと受け継ぐことができるよう、日々の教育活動に取組んで参ります。

そして、なによりも本校の一番の宝は、目の前にいる生徒たちです。「生徒一人一人を大切にする」だけでなく、「私は小牧南高校で大切にされている」と一人一人の生徒が実感する教育を推進します。その取組みが、あらゆる教育活動において生徒のやる気を引き出し、「生きる意欲」の育成につながると信じております。

小牧南高校は、以上の「生きる力」「生きる叡智」「生きる意欲」を育む教育を毎日の学校生活を通して実践して参ります。

最後になりましたが、歴代校長先生を初めとする、旧職員の皆様方のこれまでの多大なる御功績に対しまして敬意を表しますとともに、地域の皆様、愛知県、小牧市、同窓会、PTA等全ての関係の皆様方の御芳情に感謝申し上げます。今日まで先輩諸氏が築いてこられた伝統を引き継ぎ 、地域の発展に貢献する学校として、新たな歴史の一歩を踏み出すことをお誓いするとともに、御多用のところ、御臨席を賜りました御来賓の皆様には重ねてのお礼と今後とも本校に対しまして一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、式辞といたします。

令和元年十月二十九日

愛知県立小牧南高等学校

校長  山田 満貴