2学期終業式式辞 「この一球」
『この一球は 絶対無二の一球なり されば心身をあげて一打すべし
この一球一打に技を磨き 体力を鍛え 精神力を養うべきなり
この一打に今の自己を発掘すべし これを庭球する心という 』
皆さんは、この言葉を知っていますか。
この言葉は、第一回全日本テニス選手権大会男子シングルス優勝者で、日本のテニス創成期に活躍した福田雅之助氏が残した『庭球訓』です。松岡修造選手もウィンブルドンでマッチポイントを握った場面で、「この一球は絶対無二の一球なり」と叫んでサービスを放ち、ベスト8進出を決めた話は有名ですよね。
皆さんは、この言葉から何を感じますか。私は、この言葉から、いつも次のようなことを思い、自らの戒めとしています。
生涯一度しかない、かけがえのないこの一球を打てることを感謝し、悔いの残らないよう、誠心誠意すべての思いを込めて精一杯打たなければならない。この一球を打つために、一流の努力のもと、自分自身を成長させ続けねばならない。
「この一球」という言葉を「人生」という言葉に置き換えると、次のようになります。
一度しかないかけがえのない人生を感謝し、悔いの残らないよう、誠心誠意すべての思いを込めて今この瞬間を大切にしなければならない。そのために、一流の努力のもと、自分自身を成長させ続けねばならない。その積み重ねが、自分の人生を豊かにするただひとつの道である。
何も考えず、目的もなく、自分の好きなことだけを繰り返し、ただ惰性で毎日をすごすことは、自分自身の人生を放棄することと同じであり、向上心をもって、自己を変革していくことで初めて、自分の未来を切り開くことができると思います。
人は、年齢を重ねたから老いるのではありません。人は、理想をなくし、理想を追い求める努力をしなくなったときに老いるのです。最近、老人のような若者が目立つようになりました。でも、君たちには、二十歳の老人になってもらいたくない。
生徒のみなさん。みなさんにとって高校生活は人生の中で一度しかない、かけがえのない素晴らしい時です。君たちには、大した努力もしないかわりに、大した成果もえられず、ぬるま湯につかったような時間を過ごしてもらいたくない。
ぜひ、きらめくような若さで、目の前にある、今という一瞬に全力で取り組んで欲しい。
ぜひ、勇気をもって自らの目標に向かって第一歩を踏み出して欲しい。
ぜひ、向上心をもって、「一流の努力」を積み重ねて欲しい。
そして、この小牧南高校で、みなさん一人ひとりが成長し、豊かな人生と輝かしい未来の礎を築いて欲しいと願っています。
新しい年が、皆さんのその第一歩となることを期待します。以上で式辞を終わります。