令和3年度入学式校長式辞

令和三年度 愛知県立小牧南高等学校 第四十二回入学式 式辞

合瀬川の満開の桜の花びらが、桜吹雪となって降り注ぐ今日の佳き日に、PTA会長 藤田 貴子 様を始めとして、PTA役員の皆様のご臨席を賜り、保護者の皆様とともに、第四十二回 愛知県立小牧南高等学校 入学式を挙行できますことを、高い席からではありますが、本校職員を代表し、厚くお礼申し上げます。

ただいま入学を許可いたしました 二百八十名の新入生の皆さん、本校への入学おめでとうございます。教職員一同、皆さんの入学を心より歓迎いたします。また、今日のこの慶びの日を迎え、新入生の皆さんの感激はもとより、これまで細やかな愛情をもってはぐくんでこられました保護者の皆さま方にはお慶びも、ひとしおのことと推察し、心からお祝い申しあげます。

本校は昭和五十五年に開校し、本年度創立四十二年目を迎えます。創立当初から進学校として地域の信頼を築いてまいりました。昨年度も名古屋大学をはじめとする国公立大学に四十九名、南山大学には百二十名が合格しました。卒業生も一万三千人を超え、各方面で活躍しています。本校は、学問だけではなく、豊かな心を育てることを大切にする学校です。 それは、心の伴わない知識や学力が社会的な意味を持たないからです。部活動に積極的に取り組み、文化芸術に親しみ、自分自身の考え方や価値観の基礎を確立することが、これからの社会で活躍する者にとって不可欠なことであり、そのことを前提として、本校では様々な教育活動を展開しています。

本校の校訓は「知(ち)・行(コウ)・恕(ジョ)」です。この言葉は、校歌の一番に「知のまことともにもとめて」、二番に「行(こう)つよくともに研(みが)いて」、三番に「恕のこころともに探(もと)めて」と歌われています。最初の二文字、「知・行」は、「知行合一」という言葉が由来となっています。この言葉の意味は、「学んだ知識は、生活の中で実践して、始めて身に付き、その人の叡智となる。」ことを意味し、三番目の「恕」は「他人の立場に立ち、その人の痛みや、苦しみ、喜びを自分のことのように感じることができる心。」を表した言葉です。新入生の皆さんはこの三つの言葉をしっかりと受け継ぎ、日々の学校生活の中で実践してください。

私には、新しく小牧南高校生となった皆さんの三年間の姿が目に浮かびます。

日々の授業で、友と机を並べて考え、意見を交わし、真面目にひたむきに学習に取り組んでいる姿。

部活動で、時には悔しさを味わいながら、それをバネに練習に励み、さわやかな汗を流し、躍動している姿。

全校が心を一つにして取り組む数々の学校行事や生徒会活動で、先輩や友人とともに多くの喜びや感動にあふれている姿。

高校三年間には、くじけそうになったり、不安に駆られたり、歩むべき道の選択で思い悩むときが必ずあります。その時に、努力や苦労、悲しみや喜びを積み重ねながら、粘り強くやり抜き、常により高い自己をめざす生徒であってほしい。

人生に始まりと終わりがあるように、今日から始まる高校生活にも終わりがあります。その限りある時間の中で、目標もなく、ただぬるま湯につかったような生活を繰り返し、結局何もできないまま卒業を迎えるのではなく、将来の目標に向かって、学校の中で様々なことに挑戦し、努力を積み重ね、自分の力を精一杯伸ばし、悔いのない満ち足りた気持ちで卒業を迎えて欲しい。

松下幸之助さんも次の言葉を残されています。

「二度と歩めぬかけがえのないこの道。広いときもある。狭いときもある。のぼりもあれば、くだりもある。坦々としたときもあれば、掻き分け掻き分け汗するときもある。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、とにかくこの道を休まず歩むことである。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道がひらけてくる。深い喜びも生まれてくる。」

皆さんの歩む高校生活という道は、決して 、一人ではありません。仲間がいます。先生方がいます。今日ここにいる皆さんが、高校三年間という限りある時間の中で仲間と助け合いながら、自分が目指す未来に向かって、誠実にひたむきに力強く歩み続けてくれることを期待します。

最後になりましたが、保護者の皆さまに申しあげます。本日より、大切なお子様をお預かりすることになりました。お子様の教育、指導を、おひき受けしましたうえは、生徒一人一人の内に秘めた可能性を最大限に伸ばすべく、全職員が一丸となり、情熱と愛情、時には厳しさをもって、全力で教育活動を推進し、保護者並びに地域の皆様方の御期待に精一杯こたえていく所存であります。学校は、誠実に学ぶ者と情熱をもって教える者がともに希望を語り合うところです。保護者の皆様と共に子供たちと未来への希望を語り合いながら、その成長を支えていきたいと思っておりますので、これからも本校の教育活動への格別の御理解と御支援を賜りますようお願い申しあげ、式辞といたします。

令和三年四月六日

愛知県立小牧南高等学校長   山田 満貴