卒業式式辞

40年分の自信
校長 小塩 卓哉

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。期待に胸をふくらませて本校の校門をくぐられてから3年の月日が経ち、本日栄えある卒業の日を迎えられました。勉学や部活動、そして学校行事と、何事にも全力で取り組まれ、思い出も一杯たくわえられたことと思います。卒業の日の感動をしっかりと胸に刻んで、明日からの輝かしい旅立ちの糧にしていただきたいと思います。
保護者の皆さまは、お子様の誕生以来、18年間にわたり、深い愛情をもってお育てになって来られ、こうして立派に成長された姿を前にして、さぞかしお喜びのことと拝察申し上げます。本日の晴れのご卒業を心よりお祝い申し上げますとともに、本校の教育に対する3年間のご支援に深く御礼を申し上げます。
平成の元号もいよいよ改まる年となりました。三十年という歳月はいかにも重く、振り返れば、バブル景気の崩壊やリーマンショックなど、経済面で日本が自信を失うような事態が続きました。また大災害も多く、阪神・淡路大震災や東日本大震災、頻発する台風被害、最近では「平成最悪の豪雨被害」と呼ばれる西日本豪雨などが次々と降りかかり、災害にどう備えるかということを常に意識しなくてはならない時代となりました。機会をとらえて生徒の皆さんに話をしてきましたが、どのような分野に進まれても、困難な状況を切り開くリーダーシップを求められるのが本校の卒業生なので、本校で学んだ基礎学力を礎にしてさらに専門知識を吸収し、社会に貢献し得る人材となられることを切に願うものです。
さて、本校は今年創立40周年を迎えます。記念式典が10月29日(火)に小牧市市民会館で予定されており、準備も進んでいます。これまで歩んできた40年の意味をどう考えるかが、今年一年のテーマですが、私は40という数字を見ると、どうしても古代中国の思想家孔子の思想をまとめた「論語」の中の「四十にして惑わず」という言葉を想起します。これは、「四十歳になって、道理も明らかになり自分の生き方に迷いがなくなった」の意ですが、注意すべきは、孔子が晩年になって振り返った言葉だということです。「論語」では七十歳までが振り返られていますので、七十年生きてみると、四十歳になると惑うことがなくなっていた、という意味になります。
もうすぐ四十年を迎えようとする本校は、まだまだ惑うべきことが多くあるように思われますが、孔子先生の優れた見識から言えば、それは杞憂に過ぎないのかも知れません。先輩諸氏が作り上げられた伝統を揺らぎない40年分の自信として、本校の卒業生、在校生が新たな輝かしい一歩を踏み出してくれることを祈念してやみません。
まだ十代の生徒諸君は、40年後の小牧南高校を見届けてくれることでしょう。いくらコンクリート製の建物でも80年維持することはなかなか難しいことのようです。しかし、次々と生徒が入れ替わる学校の歴史は、堅牢な建物以上に、伝統によってより確かなものになっていくのだと思います。次の40年の発展を想像しながら、これまでの歩みを振り返る一年にしたいと思います。